2013年4月15日月曜日

笹本征男さんのこと (8) 詩集「いずも」から

笹本君のオヤジさんは発電所に務めていた事は聞いた事が在るが、どのような仕事をしていたのかは聞き漏らした。昔と言っても1997年だったと思うが、当時、笹本君の住むアパートと中島竜美さんのお宅の丁度中間地点あたりで大きな地下の工事が有って、私はその現場に良く通っていたのだが、ある日彼に声を掛けて、現場見学に誘った事が有る。現場には友人とは言わずに連れて行ったので本来はルール違反なのだが地下30数mの現場は文系の彼には正に驚きだった様で、確かその時に彼のオヤジさんが発電所に務めていた事を効いた様な気がする。
彼とは、運動の中でも不思議にウマが合う部分が在って、当初住んでいた清瀬まで泊り掛けで遊びに行ったりしたものだった。
そこで、今日は 「原風景」をご紹介する。


原風景

夕暮れにはまだ遠い時
私は三輪車に乗っている
母が後ろから押している
三歳の頃か

道は右に曲がっている
左には川と発電所がある

道の遠い先に帰ってくる父がいる様な気がする
人生での原風景のように記憶に残る

なぜ最初の風景と思うのか
わからない

東の出雲から西の父の故郷に
連れられて
帰ってきた 直後のことか

出典:土曜美術社出版販売  詩集 いずも
ISBN4-8120-1509-X