2009年9月19日土曜日

茨城県北茨城市磯原うぐいす谷温泉(2)


熔岩と下部層の接触面を拡大して見ました。10円硬貨が無くてやむ終えず500円硬貨をスケールにしました。直径26mmですね。背景によってスケールも変えなければ飛んでしまって判りませんよネ!
熔岩の直下でも焼けたような色合いにはなっていません。尤も、焼けて白くなる事もあるそうです。高原山の赤滝では勿論熔岩の厚みが違いますが、熔岩の下の層が真っ赤になっていてこれが名前の由来だと聞きました。この色合いは、銚子にある古銅輝石安山岩と大体同じ雰囲気です。古銅輝石安山岩も何れご紹介しましょう。
放射状節理も見えませんが、外側の表面を見るとやはり枕状溶岩なのだな!との特徴が顕れているような気がします。
茨城では変成岩では日立附近に二箇所ほど枕状溶岩の露頭がある様ですが未だ訪ねていません。
福島に近い「入遠野の官沢」には放射状節理の発達した枕状溶岩が在り、これはいわきの石炭化石資料館に収蔵されています。残念ながら本来の露頭は河川改修で失われています。バス停近くの畑の山側に露頭がないかと狙っていますが、今の所見付ける事が出来ていません。
2011年7月5日追記:画像をヤヤ大きなものに変えました。

茨城県北茨城市磯原うぐいす谷温泉


およそ枕状溶岩など在りそうにも無い場所なのですが、ここ磯原のうぐいす谷温泉には、枕というよりはシート状熔岩の雰囲気が強い熔岩の露頭があります。
残念ながらこの附近の火山性地質については参考文献が見当たりませんが、この熔岩の前には「枕状溶岩は新生代中新世第3期初期に噴出した熔岩です、太平洋側に多く流出しています。」(ママ)と書かれた看板が置かれています。
これはこの温泉旅館の駐車場兼前庭にありますので、撮影時にスケールを置く事が出来ませんでした。松葉の大きさから類推して下さい。
柔らかい未固結の細砂~粘土質に乗った為に下の地層が重量で変形しています。小川を挟んで奥に旅館の建物があります。小川の様子から鉄分の多い温泉です。周辺には熔岩の露頭は無いのですが、北西の新しい道路の現場には礫層の上に不整合で火山灰層が見られました。旅館のHPは下記。日帰り入浴は5250円(食事付き)で少々敷居が高そうです。尚、HPでは枕状溶岩については全く触れられていません。 http://www.uguisudani-onsen.com/

2011年7月5日追記:地質の専門家が現地を訪問し、これは枕状溶岩ではなくて「タマネギ状風化」であるとのご指摘を頂きました。タマネギ状風化をそれほど多く見た経験が有る訳ではありませんが、正直な話、まだ納得できていません。この頁を書いた時点ではブログのデータ容量にかなり厳しい制限が有り小さな画像を掲載しましたが、この際現地を観ていない方々の判断を頂ければと考えてヤヤ大きな画像に差換えると共に、庭園部分のほぼ全景の画像を追記しました。

数回、メールに観察した画像を添えて意見を交換させて頂きましたが、現状では枕状溶岩(あるいはシート状溶岩)で在るとの見解を破棄するに至っておりませんが、そうした意見を大切に受け止めて、再度現地に足を運び露頭を観察する機会を持ちたいと考えています。

2009年9月18日金曜日

群馬県南牧村磐戸橋附近左岸(3)










枕状溶岩の露頭がどの程度広がっているのかを見る為に下流に向かうと熔岩の色が異なる部分を見付けました。
断層が在り、その山側はかなり新しい雰囲気のシート状熔岩になっています。
右側の写真がその断層部分。スケールを入れ忘れましたが両者の隙間は8cm程度でしたか?右側は古い変成岩で紫色の部分が熔岩。薄い青色に見える部分は凝灰岩、恐らくシャールスタイン:輝緑凝灰岩と呼ばれていた部分です。右手が川の側になります。
左側の写真は断層の山側のシート状熔岩です。熔岩の下部は鋭いエッジを持つ角礫を含む火砕流の雰囲気です。シート状熔岩はかなり硬質です。このシート状熔岩は良く似た岩相の熔岩が右岸側下流にも有り、或いは繋がっていたかもしれないという雰囲気でした。残念ながら時間の制約で右岸側に戻って観察を続ける事が出来ませんでしたので、次回に挑戦したいと考えています。
磐戸橋附近の露頭紹介はひとまずこれで一区切りです。

2009年9月17日木曜日

群馬県南牧村磐戸橋磐戸橋左岸(2)


同じ河原のそれ程広くない分布領域でも、どうしてこの様に岩相が変わるのか?不思議です。この部分には枕の表面の急冷層も見えません。杏仁構造も無く、むしろ溶食とも思える空洞が沢山見えます。

2009年9月16日水曜日

群馬県南牧村磐戸橋附近左岸(1)

枕状溶岩の特徴のひとつに周辺急冷層があります。海水などに触れることで急冷されガラス質の薄い層が形成されます。変成した枕状溶岩ではこの部分は無くなって居ることが殆どです。このケースでは周辺の濃い紫色の部分は完全なはガラス質では有りませんので、周辺急冷層ではないかもしれませんが、この様に鮮やかに岩の色が表面と内部で異なるケースが時に観察されます。
この附近の全ての枕状溶岩がこの様な構造を持っている訳ではありません。又、この枕は非常に緻密で、気泡らしきものや杏仁構造も見出せません。
同じ万場層に属す付加体地質であるにも係わらず万場高校附近とは全く色が異なるのも興味が沸きます。
薄片を作って観察してみたいですね。

2009年9月15日火曜日

群馬県南牧村磐戸橋附近右岸(3)


杏仁豆腐をご存知だと思いますが、何故か地質学では「杏仁」をキョウニンと呼ばせるようです。枕状溶岩には細かな気泡が有り、それをこの様に白い鉱物が埋めている状態を「きょうにん構造」と呼びます。実物を見た事はありませんが、アンズの白い種が語源になっているそうです。白い鉱物は沸石の場合と方解石の場合があります。同じ露頭のなかでもこの様に杏仁構造が発達する:気泡跡が白く埋められているものと、直ぐ傍でも全く埋めれれて居ないものがあります。熱水活動などの影響でしょうか?この写真では余りはっきりしませんが、内側と外側でその粒径や分布密度が異なるケースもあります。これは転石でしたが、右岸側には比較的杏仁構造が発達したものが多いように感じました。
僅かに入手出来た資料では右岸側に枕状溶岩が有る事は書かれていませんでしたので、初めは左岸側を観察していましたが、足元にも沢山の枕状溶岩が在りました。左岸に移動するには歩道橋があったのですが、2006年か2007年の秋台風で流失したままでしたので、下流から大回りして露頭に取り付く事になりました。

2009年9月14日月曜日

群馬県南牧村磐戸橋附近右岸(2)

岩石の露頭写真は大体一箇所に一枚の写真だけと言う事が多いのですが、実際に其処に行って見ると、様々な岩相が見えて戸惑う事があります。
それはマクロな世界でも言える事で、岩石薄片を作って3~4平方センチメートルの狭い世界の中にも、実に様々な構造が有って、何時間も見入ってしまう事があるのと同じだと思います。顕微鏡観察初心者の私が良く参考にさせて頂くブログに「一枚の薄片から」と題して、薄片の小さな中にある、様々な鉱物構成や構造を紹介して下さっているものが有ります。
このブログでもその「一枚の薄片から」を見習って、此処にもあそこにもと沢山の露頭をご紹介するのでは無く、同じ枕状溶岩でもどれひとつとして同じものが無いように思える中で、特徴的なものを選び出し、沢山の岩相をご紹介する方が面白いかな?と考えを切り替える事にしました。
その代わりに何処かに出掛けて不在の日以外は出来るだけ毎日1枚ずつの露頭写真をアップする様心がけたいと考えます。
この写真は、昨日の比較的大きな枕状溶岩からほんの数メートル離れた場所のこの附近では一番小さな枕状溶岩の部分です。スケールのハンマーはこの写真を写した頃はスケール以外に使った事がありませんでした。
似たようなものは神流川流域の譲原地すべり資料館にも展示されています。

2009年9月13日日曜日

群馬県南牧村磐戸橋附近右岸

下仁田から南牧川沿いに佐久に抜ける狭い街道は地質的に興味深い場所が集積している。ここ磐戸橋から下流の両岸には古い変質した枕状溶岩と時代不詳のシート状熔岩が分布している。変質し紫色を呈した枕状溶岩は万場層に属する、以前は「シャールスタイン:輝緑凝灰岩」と言われて居た岩質のもの。大きさと形状に変化が大きいので幾つかを纏めてご紹介する。尚、流域にはチャートの「蝉の渓谷」や鍾乳洞も存在する。
写真は右岸で比較的大きな断面に見えるもの。熔岩の流れ方向が不明なので本当に大きいのか?刺身の様に斜めに切られただけなのか?判らない。
データ No.268 露頭位置:
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?b=361004&l=1384339