2009年11月7日土曜日

群馬県片品村戸倉片品川河床(3)

これはやや大きなやはり転石。
濡れた靴で踏んでから気付いたが、この方向なら枕状溶岩の形状が良くお判り頂けると思う。中央の上側のものは小生の靴跡から見て横幅が50cm程度だろうか。枕の外側部分に急冷縁のガラス質が変質したと思われる白い部分がある。
参考文献のルートマップには枕状溶岩のスケッチが沿えられているが、それによると枕の中央部分に横長に気泡が集まって居ると思われる書き込みが見られる。この岩体では其処までは観察出来ないので、もっと変成度が低い露頭がある可能性が考えられる。いかんせん、この流域の状況では河床を遡上する事も、下る事も危険過ぎて出来ない。

2009年11月6日金曜日

群馬県片品村戸倉片品川河床(2)

河床で見られた岩石達。
これは少し不思議な転石。枕状溶岩だと思われるのだが、本来ならば柔らかく風化し易い急冷部分なのだろうか?逆に硬度が高いのか?筋状に盛り上がった部分がある。普通ならこの線を追うと何らかの閉鎖曲線を描く事が多いのだがこれが旨く繋がらない。
枕状溶岩は常に真っ直ぐに常に流れる訳では無いので、閉鎖曲線を描かなくとも特別不思議では無いのだが、これが基は急冷のガラス質部分なら多少は想像し易い形状の部分も有って良いと思うのだが・・・ スケールの100円硬貨は22mm。
この附近には剪断され、その後剪断状態で一体化した事がはっきり判る礫岩があるので、これもそのようなモノの一つかもしれないと思い念の為に撮影した。

2009年11月5日木曜日

群馬県片品村戸倉片品川河床(1)

最初の画像は両岸が切立つ片品川の渓谷風景。
意外な場所にも枕状溶岩が在る。等と言っても、大体これだけ多くの場所に枕状溶岩が存在していた事さえ知らなかったのだから、全てが「意外!」とも言えるのだが、今回は尾瀬につながる片品川の戸倉附近。
蛇紋岩の至仏山への入口でもある。
但し、少々アプローチに難が在り過ぎて危険なので、観察場所としてはお勧め出来ない。
地図を見ながら迷ったが、行って見なければ状況が判らないので、一応、5月の連休に岩鞍高原で水芭蕉を見がてら駄目元とペンションに泊り水芭蕉を楽しみ、戸倉まで足を伸ばしてみた。戸倉には尾瀬入山のバス・タクシーへの乗換用大型駐車場があるが、附近から片品川の河床に下る事が出来ない。全体が尾瀬林業の管理区域らしい。多分今頃はバスセンターが出来上がっている附近から降りようとしたが制止されたので、下流の民宿にお願いして裏から河床まで下りてみた次第。
緑色岩となった転石の枕状溶岩とピローブレッチャを含む岩体が幾つか観察された。文献によるとかなり典型的な形状の枕状溶岩が分布しているらしい。 
データNo.247. ウオッ地図のアドレスはhttp://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?b=365013&l=1391447
参考文献は、「片品帯,戸倉オフィオライト岩体」著者は佐藤昇氏と小松正幸氏の共著。137頁に「片品川・戸倉~戸倉ダムルートマップ」が掲載されている。1985年。
他にも「戸倉オフィオライト」で検索すると論文要旨が幾つかみられる。
冬の渇水期にゴムボートでも使って戸倉ダム下流から下りながら観察したのだろうか?他にも何箇所か川沿いの道路から河床に下ろうと試したが、急傾斜過ぎて道路から河床に下る事は出来なかった。河床を遡る事も出来ない。

2009年11月4日水曜日

群馬県神流町東御荷鉾山(5)

幸い、スケールが端っこに入った画像が1枚有ったのでご紹介しておきます。実はこの画像は雑草の葉の向きで判るように、画像を90度反時計方向に回転してある。境目に雑草が生えてしまっている枕状熔岩の画像での水平方向幅は大体100cm、下にある枕の上に乗っかっているので厚みは20cmと言った雰囲気。但し、流れの方向を加味するともっと薄い熔岩かもしれない。
スケールよりも下の辺りはかなり緑色岩化しているような雰囲気。此処は皆さん、形状を確認するのに夢中で、確かだれも岩を叩かなかった様な気がします。
東御荷鉾山の枕状溶岩はこの5枚の画像で終わり。この際、群馬県で歩いた露頭を全部紹介してしまいますか!露頭の数が多いのは北海道だけれど、未だ北海道では観察していないので、これまでに観察する事が出来た露頭の数で行くと群馬県が一番多いかもしれません。その次が今は長野県でしょうか?

2009年11月3日火曜日

群馬県神流町東御荷鉾山(4)

東御荷鉾山の枕状溶岩が全て識別し難いものばかりではありません。例えばこの画像の様に、しっかりとした枕の形状をして、放射状節理の構造を示すものもしっかり存在します。スケールが入らなくて申し訳ないがこの画像の中心部に有るもので、高さが80cm程度だと記憶している。丁度影が掛かっている部分が流れの方向の断面の様子。この上の部分はすこしグズグズの雰囲気があるから水冷破砕のハイアロクラスタイトだと思われる。中央の枕状溶岩の下には少し小さいのが頭を出し、その下に二つ、枕の形状を示すものがあるのがお判りだろうか?左側には枕状溶岩の表面が見えています。出来る事なら、この露頭の前に一日でも陣取って写真とスケッチで観察記録を作りたいところだが、自宅からの往復の時間に取られてしまって、とても露頭での時間を掛けた観察も出来ないのが実情だ。でも、此処には歩くには少し遠いかも知れないが、決して歩けない距離ではない場所に公共の宿舎が有るので、時期を選べば宿泊して観察をする事が出来るかもしれない。
万場とこの東御荷鉾山とはそんなに離れていない。同じ神流川の流域でも岩相が異なるのだから、水平距離7km、標高差620m程度の距離なら岩相が異なっても当然か?
6日前から腰痛に悩まされて殆ど寝たきりの生活をしている。少し良くなったが気付いたらブログのUPDATEが1日抜けてしまった。残念。

2009年11月2日月曜日

群馬県神流町東御荷鉾山(3)

順序が逆になってしまったが、これが露頭の一番それらしい雰囲気の部分。この右側に前の画像の露頭が広がっている。
道路が緩やかに左に曲がっているので見通しは良くない。峠から下り始めたら少しスピードを緩めてカーブに差し掛かりその左手が雑草や雑木ではなく、露岩だったら出来るだけ見通しの良い場所に車を止めて下さい。
普通の車なら充分にかわせるだけの道路幅はある。但し、観察中は見通しが悪いので注意する事。こんな場所に人が居るとは思わないらしく車は結構な速度でやってくる。
これだけ丸みを帯びた岩体がもっこりもっこり表情豊かに露出していれば、外側表面の観察には充分だが残念ながら、断面には恵まれない。でも詳細に観察すれば色々あるのでご紹介する。
只、この幾つかのふくらみについて、溶岩がどの方向から流れて来て、どの方向に流れていこうとしていたのか?を考えると少々納得のいかない部分が出てしまう。
只、普通の地層と異なり、枕状溶岩の場合は、鴨川の露頭写真でもお判り頂けると思うが、流れる角度と方向は自由自在に変わってくる。露頭で急角度で流れ方向が変わる事は多々あるので難しい。
それに先にご紹介した断面の画像とイマイチ流れの方向が一致しない様にも思えるので本当はもう少しこの枕状溶岩の前で議論したかったのだが、少々企画者の思惑以上に道路事情が悪く、時間が押してしまったのが残念。
この露頭を前にしてキャンプをし、酒酌み交わしながら熔岩の流れを議論すれば酒も進むだろうな!等と考えるのはやはり変わり者なのだろうと思うが、露頭をじっと観察するのは結構面白いと思う。