2009年10月31日土曜日

群馬県神流町東御荷鉾山(2)

この画像は実は一つ前の画像を90度回転したもの。この状態では枕状溶岩が上に凸の形状に見える。前の画像でも全く変わりないのだが、枕状溶岩は「積み重なっている」と言う先入観が有る為か?ゴロンと横になって居る(露頭では前の画像の縦並び)状態では判り難いと言われる方々が多かった。この写真の方が判り易い様だ。しかも、万場高校前で初めて緑色の枕状溶岩を見たばかりなのに今度は緑色ではないものを見せられて、これも「枕状溶岩」と言われても、玄武岩と流紋岩を並べて両方とも同じと言うのに似て、そうすんなり納得出来るものでも無いと思う。枕状溶岩の面白さは玄武岩・安山岩・流紋岩の如何に係わらず一緒くたに「枕状溶岩」と括れる事かもしれない。
その代わり、南太平洋から「ひょっこりひょうたん島」の如く、大変に長い年月を掛けて日本列島を形作ったものがあれば、日本海が拡大していく過程でひょっこり出て来た輩もいる。中には折角、富士山(側火口だけれど)から噴出したのに、「瀬の海」に流れ込んで枕状溶岩と成ってしまったものもあるから、その成因を想像するのは面白い。アマチュアには論文も書けないし分析も出来ないが、学説とは無関係に想像を逞しくする事が出来るのが何よりである。

今日・明日は、千葉県立中央博物館の県外観察会「白河火砕流 と白河石・芦野石」に参加し、溶結凝灰岩の石切り場や「塔のへつり」等を見学の予定だったのだが、20年ぶり位に重度の腰痛が再発し動けなくなってしまって急遽欠席する羽目になってしまった。殆ど寝たきりでやっと起きてきて、体調確認の為パソコンの前に座ってみた次第。寝ている時は痛みも無いが起き上がるのが辛い。78kgの体重を重力に逆らい立ち上がる事が、普段如何に体の隅々の筋肉と骨格でバランスされているのか!健康で居る事の如何に幸せな事かをしみじみと感じる。
フイールドを歩くのが基本の地質の趣味を持つものにとって腰痛は辛い。軽度の腰痛は直ぐ治るのだが、今回はかなり重症に陥ってしまって来週からの仕事にも支障が出そう。

2009年10月30日金曜日

群馬県神流町東御荷鉾山(1)

万場の町から北へ「みかぼ高原自然休暇村」を目指し「投石峠」に向かう。峠から「東御荷鉾山」方面にすこし下ると、道路の山側に枕状溶岩の露頭がある。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=360851&l=1385549
最初の写真がこれ。枕状溶岩を見慣れた方々は直ぐに察しが付くだろうが、慣れないと何故「枕状溶岩」なのか?何処がその特徴を示しているか?皆目判らないようだ。枕と枕の隙間が無い・急冷ガラス層がはっきりとした色の違いで見えない・段差が無い事に更に太陽の日差しが影を少なくしているので判り難い。
こんな時は、姿勢を変えて真横から見てみるとか、通過する車両に注意しながら、兎に角動き回っていろんな角度から岩を「凝視」するしかない!
正確な場所は判らないが、少なくとも「この附近に」枕状溶岩がある事が判っているのだから、露頭探しは気持ちの上で楽になる。但し、思い込みはとんでもない過ちを引き込む事になるので心を引き締めて証拠を探そう。この場所も実に参考文献が無い。群馬県ではここの露頭を天然記念物に指定したのか?判らない。「天然記念物緊急調査(地質鉱物)の開始」と題された下記「埼玉県立自然史博物館・自然史だより 第39号には、(始めるよとの事なので当然か!)記載が無い。尤も、お役所の方々や研究者の中には、露頭の場所を明らかにすると「荒らされる」からと、露頭情報を極力公開しない向きも多いのでそんなものかも知れない。
データNo.246 地図データはどうやら何かのモードが変わってリンク出来なく成ったらしい、ドラッグ&ペーストで飛んで下さい。

2009年10月29日木曜日

群馬県神流町万場高校附近(10)


一見砂岩の様にも見えるが、これも枕状溶岩と見て間違いないだろう。
出来れば叩きかったが少々足場が悪かったし、当時はきちんとしたハンマーを買う余裕が無かった。(現在持っているハンマーは実は頂き物で、本当に感謝!感謝!なのです)前の転石と殆ど同じ場所に有ったがこれは小型なので恐らく流されているだろうと思う。撮影は2007年8月25日。
同じ様な場所に接近して存在していても、転石の場合は同じ露頭から流されて来たとは限らないので岩相が同じだとは限らない。移動する可能性の高い小型の転石なので、時間が有れば出来れば端っこでもハンマーで叩いて新鮮な面の状態を観察する事が必要だと思う。風化と川などで流された円磨した時の表面の色は実に多彩に変化する。表面だけの色合いで騙されてはいけない。流紋岩が白いとは限らないのと同じ。「色」にはとかく騙されやすい。これは左側の面に現れた形状と磨耗の段差が側面にまで繋がって居る状態で推定した。尤も、この転石を見た後に少し上流で石灰岩の大きな転石に出合った時、いい具合に侵食されていて、薄い枕状溶岩が隙間を持って積み重なっている!等と一瞬間違えてしまった。側面を見て石灰岩に気付いたが、注意!注意!
万場高校附近の枕状溶岩についてはこれで一段落、次回は万場から山を登って次の露頭へ!

2009年10月28日水曜日

群馬県神流町万場高校附近(9)

これは万場高校から更に上流に行った道の駅「万葉の里」の駐車場から神流川の河床を見下ろした時に見たかなり大きな岩塊。恐らく左側は玄武岩、右側は石灰岩だろうと思う。玄武岩側の木の繁みの右手に、見様によっては枕状溶岩と思えない事もない形状も見える。かなり大きな岩体で、河床に下る道が無いか探したが見付からず諦めた。場所は
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?b=360633&l=1385352
上流から流れて着たというよりも(それらしい崩壊地形が見当たらないのだが)これだけ大きいとこの崖の上から崩れ落ちたのではないかと想像する。
この上流の小平地区にも枕状溶岩が分布している事は、譲原地すべり資料館の展示からも明らか。この資料館にはボーリングコアや周辺地山の試料が豊富に展示してあるので、立ち寄られる事をお勧めする。
http://www.ktr.mlit.go.jp/tonesui/siryoukan/index.htm
企画をしながら伸び伸びになって居る場所で、この万場側からは行き難そうだが、甘楽町と下仁田町の境にある「稲含山」の隣にある「黒内山」には枕状溶岩や蛇紋岩の露頭があるとの事。この附近は実に興味深い場所だ。黒内山は2.5万地形図には名称が記載されていない。場所は
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?b=361042&l=1384952
今日は何故かwebsite へのリンクが効かない。お手数だがペーストしてご覧下さい。

2009年10月27日火曜日

群馬県神流町万場高校附近(8)

これは転石の枕状溶岩、この附近で最初に見て頂いた転石と異なり、10円硬貨のスケール横にやや濃い色のガラス質急冷層の名残とも思える部分が見える。前の画像との関係で気になった転石。道路下の崖に現れた大きな露等より上流にこの様な転石が有る事は、当然上流にも露等がある筈。小平に有る小型の枕状溶岩とは別の露頭なのか?小平に大きな断面を示す枕状溶岩があるのか?
5月の神流川は町の中心部で鯉幟を集めて、ワイヤーロープで一斉に展示している。観光客も多く時間も押してきたので、少し上流に有る道の駅まで移動しながら川の両岸を観察する事にした。

2009年10月26日月曜日

群馬県神流町万場高校附近(7)

さて、これは一体何だと思われますか?
場所は生利大橋のひとつ上流側の橋に近い左岸。10円硬貨のスケールを置いた部分は熱変成を受けた石灰岩の様な雰囲気。黒いのは頁岩か玄武岩か?石灰岩の様な白い岩が大きくて手の出しようが有りませんでした。ひょっとしたら、この附近の緑色岩化した枕状溶岩にも時々観察出来る急冷を受けたガラス質の部分かもしれない。貫入した端っこで、周囲の石にはハッキリした熱変成を与えきれていないのかも知れない?
只、対岸の大きな緑色岩化した大きな転石の枕状溶岩とは余りにも変質の程度が違いすぎるのが気に成りました。ここより上流に、頁岩層の露頭があるか?或いは緑色岩化していない玄武岩系の露頭があるか?
と言う訳で、実は判断に全く自信の無いけれど興味ある画像。熱変成を受けた石灰岩(?)にしても、再結晶しているにしてはなんだか化石の様なものも見える。但し、熱変成を受けた石灰岩は北九州の平尾台や秋吉台で見た記憶は在ると言う程度、秋吉台のものは大理石らしく美しい再結晶化が進んでいて岩相が全く異なる。何れにせよ、上流を探せ!と言う事か?

2009年10月25日日曜日

群馬県神流町万場高校附近(6)

さて、この画像は隅々まで良く観察して頂きたい。但し左上の規則正しい礫状の部分は石垣。実はこの直ぐ上に道路が走り、画面からは外れたが白いガードレールがある。
まず、画面右側の流水に近い緑色の岩体は最初に紹介した岩体と類似の岩質の転石。勿論これは枕状溶岩に間違い無い。中央を左下がりの斜めに厚い熔岩が流れている。これはシート状熔岩と考えて居る。石垣の左手のやや暗い部分が下に凸で丸くシート状熔岩付近まで下りている。その熔岩とシート状熔岩に挟まれた左側のややくさび状の部分。少し明るい緑色だがこれは明らかに枕状溶岩が折り重なっている。
更に、シート状熔岩の下にも、枕状溶岩が観察出来る。シート状熔岩の下の方にも所々、枕状溶岩と思える形状がある。実の所、双眼鏡は車の中で、望遠でどうも変だぞ!と思いながら数枚を撮影し、帰宅後改めて確認し地団駄踏んだ次第。残念ながらこの日の時間の制約で右岸に戻ってこの露等を確認出来なかった。
熔岩の噴出量が変化し、一時的に大きな噴出量の時にはシート状となり、まさにその先端で枕状溶岩が分岐して出来ている状態が想像される。もう一度ゆっくりと観察したい露頭