2010年5月8日土曜日

埼玉県高麗川流域東吾野下流寄り道(3)

枕状溶岩の露頭に出会いたいと言う願いは結構眼を曇らせるものです。プロの地質屋さんならひと目で見分けるのでしょうが、曇った眼にはこれが枕状溶岩が斜めに垂れ下がった姿と見えてしまうのですから「心理」と言う奴の働きは強大な影響を与えますね。ナンテ!全くの弁解でしかありません。でもチャートのこんな切立った崖を下から見上げる事の出来たのはこれが始めてかも知れません。この直後に秩父でチャートの断層崖に出会う事になります。

2010年5月7日金曜日

埼玉県高麗川流域東吾野下流寄り道(2)

結果的に他の露頭に行き会えたのですから、「地学とは地球を歩く事だ」の実践は無駄では無かった訳ですが、他に見るべき露頭情報が有りながら途中下車して露頭を探すのは少しだけ戸惑いが有ります。電車の中からこの露頭を狙ってカメラを構える事数度。多分この附近が写ったのだと思います。その画像は此処を歩いた後に消去したので残っていませんが、この画像を少しぼかすと枕状溶岩の形状が浮んでしまうのが素人の浅はかな部分です。崖には中々近付けなくて、遠方から望遠で覗くと崖の上部ばかり見えて淡い期待が強まります。結局、この上白子地区の路地をウロウロし小さな教会の脇から鉄橋を潜り河床に行く事が出来ました。期待が大きかったばかりに、チャートだと判った時はがっかりでしたが、吾野附近はチャート・石灰岩・枕状溶岩と彩り豊かな場所です。

2010年5月6日木曜日

埼玉県高麗川流域東吾野下流寄り道(1)

西武秩父線を利用してこの方面に通い始めた頃に、武蔵横手と東吾野の間でチラリと見える崖の風景が気になっていました。ホンの瞬間しか車窓からは見えないので、意を決して武蔵横手で電車を降り、高麗川をゆっくりと遡りました。電車とその崖との位置関係はこの図でお判り頂けると思います。場所は白岩地区の痩せ淵と言うのだそうです。現在は浅いとても淵などとはいえない状態ですが、昔はこの附近尾子供達の格好の水泳場だったそうです。結果はこの画像では直ぐお判りかと思いますが残念ながらチャートの崖でした。

2010年5月5日水曜日

埼玉県高麗川流域東吾野駅前河床(9)

この露頭最後の画像は枕状溶岩ではありません。枕状溶岩の外れの方で一箇所だけ「地窓」の様にその下の岩石層が見えている部分がありました。頁岩かとも思ったのですがハイアロクラスタイトかもしれない?と思いつつ、後で確めようと思ったのをうっかり忘れてそのまま帰宅してしまいました。帰宅して、しまった!と思ったのですが後の祭りです。もう一度近い内にいこうかなと思っています。
昨日は、博物館行事「石割体験の会」のお手伝いをしました。今年は枕状溶岩は在りませんでしたが、大粒のオリバインを含むピクライト玄武岩や、角閃石結晶の大きさが様々な斑レイ岩、幼い子供達向けに大理石、曹長岩や蛇紋岩、結晶片岩等県内外の岩石を80人ほどのお子さん達(中には大人も)割って頂き、実体顕微鏡で破面を観察して頂きました。子供達だけでなく大人も目を輝かせていました。子供の手のひら程の破片が一個取れると満足する子が大半でしたが、中には徹底的に割り続けないと気がすまない子も居ました。観察した岩片は角を丸めて岩石の産地と簡単な説明のメモを付けてビニール袋に納めておみやげに持ち帰って頂きました。未来の地質学者が生まれるかもしれません。疲れましたが笑顔が心地よい一日でした。
明日から別の露頭です。

2010年5月4日火曜日

埼玉県高麗川流域東吾野駅前河床(8)

枕状溶岩はいろんな方向を向いています。そのなかでもこれは(ここでは)珍しく横向きに転がっています。右横で光ってしまったのはスケール用の10円硬貨です。一部分の外殻が破れて内部の冷却節理が見えています。ここの露頭の枕状溶岩画像はこれで終わりです。但し、後1枚だけここで見かけたものをご紹介して次の露頭に移動しましょう。

2010年5月3日月曜日

埼玉県高麗川流域東吾野駅前河床(7)

中洲の様な岩体のやや下流側の小高い部分にこの様に小型の枕状溶岩が集まって居る部分があります。ハンマーは持っていましたが、断面を見てみたい誘惑に駆られながらももったいなくてそのままにしておきました。

2010年5月2日日曜日

埼玉県高麗川流域東吾野駅前河床(6)

もう少しだけ、個々の枕状溶岩の形状を観ておきたいと考えます。外形はしっかりしているのですが、内部の冷却節理や表面のガラス質急冷層は良く判りません。冷却節理はどの枕状溶岩でも形成される筈なのに、どうしてこの様に個々の岩体で差が出てしまうのか?不思議ですね。
スーパーサイエンススクールで枕状溶岩の組織を研究テーマ取り組んだ高校が在ると聞きました。枕状溶岩の周辺部や中心部など冷却速度が異なる様々な岩片の部位から薄片を作り偏光顕微鏡で観察したのだそうです。以前からやってみたいなと思っていたテーマであり羨ましく思います。尤も私も現在偏光顕微鏡での観察の勉強をしていますが全く歯が立たず進歩の形跡がありません。顕微鏡での観察結果を聞くと納得出来るのですが、自分では鉱物の同定に自信が無い状態から抜け出る事が出来ません。昔から「色」に惑わされて人生を生きて来た集大成が美しいクロスニコルでの偏光顕微鏡像を観察する時にも現れている様です。