2011年8月1日月曜日

焼津市虚空蔵:No.037-02

海岸は公園として整備されているので、旨く走れば海岸に近い駐車スペースに出る事が出来る。但し、途中が少し狭いゾ!
海岸に出て辺りを見回すと、この黄色のオブジェ(?)が目に入る。観察していると散策中のご婦人が「誰がこんな色に塗っちゃったのかネー!」と話し掛けて来た。塗ったというより風化でこの様な色合いになったのだろうと思うけれど、虚空蔵の崖にはこんな色は無いので不思議。一箇所だけでは無いので、観察の帰りに時間の余裕が有ったらご覧下さい。この色は金沢大学の海野進氏による「小笠原諸島の地質ガイド」の13/26頁にある「父島の枕状溶岩。小港の八瀬川河口にある古銅輝石安山岩(a)」の色調に似ている。ここの枕状溶岩は他の画像で見ると実に大きい事が判る。海野進氏のガイドはpdfファイルでネットから入手可能だ。勿論、この岩石が同じものか全く違うものかは判らない!
このブログを年内終了を目指して考えてみると、積み残しにならないように一挙に掲載情報を増やす必要に迫られてしまった。頑張ろう!

露頭情報:No_136;美郷村オセリの滝

基本的な資料は、1/50,000 地質図「神門地域の地質」56-67頁を参照下さい。一部を抜粋して引用すると「目陰山を構成する塩基性岩体は、下限を緩傾斜の目陰山衝上で切られ、巨大な衝上地塊をなしている。この岩体はまれに泥質岩を挾むが、主として玄武岩の枕状溶岩からなり、同質の火山角礫岩を伴なう。耳川沿いの笹陰ダムサイトには、この岩体の北東端部が露出している。そこでは、枕の大きさ短径20~30cm、長径100cm位のものが多く、枕と枕の重なり方からみれぱ、この岩体も逆転していない。注意!:耳川水系「笹陰ダム」は、地形図では「笹影」集落近くに有る「西郷ダム」を示すものと思われる。座標は「オセリ」の滝附近を示すが、ダム下流には確実に露頭が在る様子。注意!個人のブログで「おせりの滝が枕状溶岩」と書かれたものを拝見したが、確たる証拠は無い。おせりの文字が色々な書き方が使われていて(大斗・尾迫・尾芹)場所を特定するのに手間取ったケース。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=131.39361452777&latitude=32.446212604975
画像は宮崎在住の“S”氏に頂戴した「オセリの滝」の画像。岩の部分をトリミングさせて頂いた。「オセリの滝」の直上にもう一つのこじんまりした滝がある様で、遊歩道も一応有るらしい。その滝のは枕状溶岩に掛って居る事が下記の画像で確認出来ます。
http://miyahima.web.fc2.com/taki/miyazaki/mimi/miminaka.html

露頭情報:No_135;椎葉村大藪川流域

露頭情報を整理し始めた時に、露頭の距離単位でまとめるか? 少しだけ迷ったが、露頭そのものの大きさの事もあり、近くでも林道などを通る術が無ければ別の露頭にすれば良い!程度に気楽に考えていた。
この露頭情報は迷ったが二つの地質ユニット(三方岳ユニットと神門ユニット)に跨る4x4km程度の広い地域を一括して括ってしまった。基の資料は、1/50,000 地質図「椎葉村地域の地質」従ってこの資料の61頁に在る「第35図:椎葉村東部大藪川上流域のルートマップ」に記載された「7. 玄武岩類」の全て!雑だな!何れにせよ、この附近を歩く時はこの地質図を読み込んで行くしかない。

露頭情報:No_134;槙峰・五ヶ瀬川河床

基本情報は1/50,000 地質図「諸塚山地域の地質」: 「Ⅱ.3.2.1. 諸塚層群 槙峰層  22頁 第13図;枕状溶岩を含む柱状図 23頁 第14図;槙峰層M2の玄武岩質凝灰岩と枕状溶岩・槙峰 24頁 第15図;槙峰層M2の枕状溶岩・槙峰  22頁:塩基性岩類は玄武岩熔岩および火砕岩よりなる。これらは簗崎・城・猿渡附近や速日峰北域では厚層をなして発達するが、本層上部では狩底・槙峰附近によく連続する数枚の塩基性岩類があり、これより南西に向かって次第にその量を減ずる」場所は下記付近に行けば判るだろう。画像は宮崎在住の“S”氏に提供頂いたもの。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=323638&l=1312653
地質図解説の抜粋引用「塩基性岩類の上・下限は断層で切られることもあるが、槙峰駅前橋下の川沿いの露頭(第13図)では、下部約20mは塊状溶岩と火砕岩の互層で薄いチャートを挾む。
その上に約5mの枕状溶岩がある.枕の大きさは短径15-30cm,長径30cm以上である(第14・15図)、更に上約20mは凝灰岩を主とし,ときに薄い泥質岩を挾む。これより上約30mは泥質千枚岩が卓越するが,その下部では厚さ1-5cmの凝灰岩と泥質岩が頻繁に互層している。全体を通じて,溶岩から火砕岩を経て泥質岩に移化する様子がよく分かる。
塩基性岩類とその上・下の地層との関係は広域目の影地域の試錐資料からも知ることができる(第31図)。 なお,枕状溶岩は綱瀬川下流の川床でも観察され,枕の構造からその岩体は逆転していないことが分かる.
塩基性岩類は緑色片岩相の変成作用を受け,緑色の千枚岩又は結晶片岩となっている.このため火砕岩と溶岩の区別か困難な場合が多いが、前述のように枕状溶岩が見られることもある。顕微鏡観察によると,玄武岩中では普通輝石と斜長石の斑晶が残っていることが多い。普通輝石は周辺及ぴ舜開に沿ってアクチノ閃石・緑泥石・緑れん石に置換されており、斜長石は完全に曹長石化され、その周辺及ぴ内部にセリサイト・方解石・緑れん石が生じている。
また鏡下でまれにドレライトが認められるが,露頭ではその産状は分かりにくい.この場合も,輝石と推定される斑晶はすべてアクチノ閃石となっている。M2の層厚は露出範囲で2,000m,恐らくこれ以上と推定される.」画像も豊富に掲載されている。
尚、地質学雑誌 第98巻 第5号 391-400頁に「上部白亜系四万十累層群槙峰層(九州)なかの緑色岩の産状と化学組成(1992)が掲載されている。この地点を含む地域の文献なので一読をお勧めする。

2011年7月31日日曜日

焼津市虚空蔵:No.037-01

「虚空蔵」の地名に枕状溶岩の露頭は意外と多い。大きな山を背後に背負うこの虚空蔵菩薩。
背後の山は山頂まで枕状溶岩が累々と折り重なっている。
登山道を歩きながらでも観察出来るが、海が時化ていなければ海岸の防波堤から望遠レンズか? 双眼鏡で仔細に観察する事をお勧めする。1日居ても飽きないかもしれない。

露頭情報:No_133;鳥羽市浦村町大村島

基本情報は「名古屋大学惑星地球科学紀要 第42巻」に掲載された
“Permian, Triassic and Jurassic radiolarians from Omura and ogura Island in the eastern part of the Shima Peninsula,Southwest Japan” 4頁 第2図:大村島海岸線のルートマップ 15頁 写真 1:大村島の枕状溶岩 の記載がある。
鳥羽市の指定天然記念物。島は無人島らしい。場所は 
同じく鳥羽市HPの文化財マップの該当地域  

露頭情報:No_132;滋賀県多賀町鞍掛峠

「地学のガイド 滋賀県」65,71,72頁にこの露頭についての記述がある。「地点 E 鞍掛峠の枕状溶岩 林道から国道306号に出て,3kmほど上流に進むとヘアピンカーブの所に鞍掛橋があります。ここから林道へ入り暫く歩くと鞍掛橋に着きます。
この橋の20mほど先の右手の崖を見てみましょう。枕を積み重ねたように見える露頭があります。これが枕状溶岩といわれるもので,粘性の小さい玄武岩質溶岩が水中で固結するときにできます(図18-12)。つきたての餅を積み重ねたようなもので,溶岩の塊と塊のすき間にも溶岩が入り込み,埋められています。
また,ときには泥岩や石灰岩で埋められていることもあります。溶岩の中心部は多孔質であったり,空洞になっているものもあるようですが,ここのものは全体的に綴密です。
周辺部は急冷してガラス質になり,割れ目が発達しています。」とされている。
場所はこの附近か?
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=351145&l=1362415
原本が現在手元に無いので確認出来ないのだが、恐らく小生の読み取りのミスなのだろうが鞍掛橋が2箇所に在るような記述になって居る。でも場所的には65頁の地図と照合しても間違いは無さそう。