2011年5月7日土曜日

枕状溶岩の岩壁:1/40

ブログに画像が無いのは寂しいものですね。只でさえ、「枕状溶岩」等と言う殆ど人目を見ない、地味過ぎる対象をブログに取り上げても、読んでくれる方など居ないだろうと思っていました。最近は、地震関係の表題を入れた為、多分もっとまともなブログかなと思って立ち寄って下さった方々が居られたので毎日100人以上が立ち寄って下さるという「異常事態」が発生しておりました。今後はそのような訪問者も減って、地質学的な興味と怖いもの見たさの(?)方々が大体1日30人くらい立ち寄って下さる「平常状態」に戻ると思います。当分、枕状溶岩の露頭情報(650件もありますから)を繋げますが、私が歩いたのはDBの1/10 ざっと60-70箇所ですから画像が無いのが当たり前です。かといって、無断で他人のHPなどを引用するのは気が引けます。
そんな訳で、少々危険で正確な位置はお教えしない方が良さそうな露頭の画像が、どうしようかなと?と思っているけれどでっかい露頭でその一つの露頭だけで80枚ほどありますので、半分の40枚の画像を多少似通った画像はご愛嬌で、本文の露頭情報とは別に毎日1枚ランダムに紹介してみるか!と思いつきました。今日はその第一枚目。番号で適当に選んでいますので前後の脈絡も無しです。標高差100m。ほぼ垂直の岩壁のほぼ全体が枕状溶岩です。この地域の文献は今の所探し出せていません。尚、200mmの望遠で撮影しています。画像に見える丸太棒の様な枕状溶岩はかなりでかい筈です。周囲の木々の雰囲気からサイズを推し量って下さい。
尚、これまでにご紹介した枕状溶岩の画像は約530枚、データ量で205MB程度です。

露頭情報:No_035;長野市若穂綿内大柳

1/25000地形図にもその露頭位置が示されている有名な露頭。露出規模は小さく個人の住宅の裏庭に面して居る部分が多いので注意する事。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=363708&l=1381610
尾根が続く妙徳山(標高:1293.5m)にも枕状溶岩の露頭が在ると書かれたものが有るが、画像も分布地域もハッキリしない。私も確認していない。既にご案内したNo_016:須坂市井上の露頭が同じ妙徳山の裾野部分で近い露頭なので、妙徳山本体にも在る可能性が全く無いとも思えない。妙徳山は詳細不明ながら一応No_164として小生のデータベースには登録している。
虚空蔵の露頭で紹介した「長野県の地学」
にも、この露頭についての記載がある。
http://www2.ueda.ne.jp/~moa/ooyanagi.html
1/5万:須坂地域の地質(1955年)にも記載が在るのだが何故かコピーが見当らない。地質図のチェックリストに16.35.164頁の記載があるので機会が在ったらこの頁をチェックしてみて下さい。

2011年5月6日金曜日

露頭情報:No_060;霊泉寺温泉入口

ここの露頭には困った案内看板があり、「枕状溶岩」にわざわざ「ちんじょうようがん」とルビを振っている。
目印は巨大なポットホール。貫入岩脈に出来た細かな柱状節理を穿って、中で子供達が泳げるほどの巨大なポットホールが霊泉寺温泉に向う細い道沿いに在る。ここから河床に下るのが手っ取り早い。深めの長靴か怪我し無い様に気をつけて膝辺りまでたくし上げて裸足で川に入るか! 貫入岩脈の外れが少し深いので要注意!場所は
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=361752&l=1381053
地学のガイドにも記載があるが、最初はその記述に頼りすぎて霊泉寺川と内村川の間に細く突き出した尾根沿いを探して駄目だった。 2回目に、記述が実際の地形と合わない事に気付いて巨大ポットホールから霊泉寺川の河床に降り、ポットホールで泳いでいた子供達と一緒に下流側に移動し直ぐに左岸側の崖に広がる露頭に出会えた。良く見ると、左岸だけでは無く右岸側にも広がっていた。画像はその巨大ポットフォール。画面の右側に下る道がある。左手上流側に歩行者用の小さな橋が在る。
この露頭については2009年11月26日から、この画像でスタートし12月4日まで9枚の画像をご紹介しています。下のラベルで「長野、露頭画像、」からご覧ください。
No_034と比較的近い場所の露頭情報を纏めてご案内した!

露頭情報:No_059;内村川小屋坂大橋下河床

No_034.同様「地学のガイド 長野県」にも紹介されている。4.内村川・別所・塩田地域 地点 A 小屋坂大橋付近の内村川の両岸には内村類層の変質玄武岩・黒色泥岩・ガラス質安山岩が露出。変質玄武岩の一部には枕状溶岩も。内村川の南岸の露頭では黒色泥岩に変質玄武岩が岩床状に貫入・・ とあります。場所は
 http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=361843&l=1381422
実は此処は河床に降りられなくて(時間も限られていて)余りよく観察していない。水田のあぜ道経由で橋の下に下りるのだが、最後の河床に下る部分が後で登るのにきつそうなので河床まで下るのは諦めてしまった。年齢を重ねると妙な所で詳細に観察する機会を失ってしまう!
おや!この露頭は画像を紹介していないのかな?リストに記載されていませんね。調べてみます。

露頭情報:No_034;上田市虚空蔵内村川河岸

これは「地学のガイドシリーズ 長野県」にも掲載されている露頭。37-42頁を参照。4.内村川・別所・塩田地域 地点 B 虚空蔵のバス停から徒歩で2~3分(上流側)の内村川北岸に・・枕状溶岩が約30mにわたって続いています。このブログについては2009年12月5日から13日まで、9枚の画像をご紹介している。この附近は露頭が多い。場所はこの附近。道路沿いに教育委員会が建てた説明看板が在り河床に下る階段も設置してあったが、かなり老朽化していたので注意!
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=361803&l=1381131
これは長野県理化学会 地学部会編 「長野県の地学」の中のこの露頭説明。
http://www2.ueda.ne.jp/~moa/pillow.html
長野県の地学HPは 
http://www2.ueda.ne.jp/~moa/index.html
上田市の文化財マップにもこの様な解説がある。
http://museum.umic.ueda.nagano.jp/map/document/dot132.html

2011年5月5日木曜日

露頭情報:No_033;旧丹生川村山口谷

1/5万地質図:「高山地域の地質」 Ⅳ.美濃帯の中・古生層 Ⅳ.2. 小八賀川層(美濃帯中・古生層) 写真:11頁 第4図 「小八賀川層の枕状玄武岩溶岩(丹生川村山口谷川)」(10-11頁)とある。場所はこんな場所を想定している。川沿いの林道を源流附近まで遡れば何処かに露頭が有るだろう!程度の情報濃度なので、実際に歩く場合は地質図の記載を参考にして欲しい。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=360921&l=1372129
尚、高山地域には同じ「山口谷川」の名前で少し南を流れ「山口町」を通過しているのもある。東側に「塩屋町」の地名が見える。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=360809&l=1371753
地質図の11頁には「枕状溶岩は玄武岩分布地域の各所で見られ、特に北部の丹生川村山口谷川沿い(第4図)や高山市塩屋町附近に良く発達する。枕状溶岩は良く発泡しており、孔隙の多くは方解石や緑泥石によって充填されている」と書かれている。塩屋町を別の整理番号にする事も考えたが、どちらも露頭位置が確定出来てないのでこのままとした。何れ特定出来たら分離するかもしれない。残念ながら、組織も学問も無い素人の個人の調査には限界があるのを理解してこの資料を利用願えれば幸い。

2011年5月4日水曜日

露頭情報:No_032;丹沢湖中川温泉

この5月の連休にここの露頭も訪ねる予定であったが、玄倉の小菅沢の露頭を観察してなんとなく満足したのと、帰りの渋滞が心配でパスしてしまった。場所は、大分以前にある博物館の方にお聞きしたので間違いは無いと思うが、歩いていない場所なので・・・
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=352630&l=1390259
出典は早稲田大学理工学部の下記「これまでの表紙」の2005年5月に画像と衝突したかつての伊豆弧を構成していた枕状溶岩の構造を残す角閃岩マイロナイト.丹沢山地中川温泉の露頭.提供:高木秀雄」と記載有。
http://www.dept.edu.waseda.ac.jp/earth/top/back_no.html
残念ながらこの地域の文献には出会っていない。調べ方が足りないのだと思うが、丹沢と言う地名はどうも若い時から自分の住む地域からのアクセスが悪いイメージが強く力が入って来なかった!

2011年5月3日火曜日

東北太平洋沖地震の時系列震源分布

早いもので3月9日の前震以来8週間が過ぎようとしている。最近は此処千葉県柏では大きな余震を感じる事は無くかなり安眠出来る様に成って来たが、地域によってはまだまだ余震に見舞われている。この様なグラフでこれ以上の長期間の地震分布を表示しようとするのは少々無理が在るようなのでひとまず区切りにしようと考えて居る。と言ってもマダ地震が終った訳では無いので、これからも時々興味深いデータを見た時はこのブログでも取り上げるかもしれない。
エクセルでのデータ処理は、仕事で凄まじいほどの機械装置の運転データを整理して有意のデータを取り出す為に半年以上終日係っきりの時期も在ったが、それも10年ほど昔の話。流石に今回はデータ量が多く疲れた。
気象庁の毎日の地震データをコピーしエクセルに貼り付け、データを区切り、演算しデータを取り出しその一部をこの様なグラフに整理する作業だ。
東経(137-145度)と北緯(34-42.5度)に収まるデータだけを取り出しても6500行程になってしまった。最初はマグニチュード1.0以上のデータを扱っていたが途中から3.0以上のデータに限って扱う事に方針を変えてしまった。
いまだに行方不明の方々が1万人を超えている。3月14日に三陸沖を漂う大量の漂流物の画像をNASAが紹介していたが、この中に被災者が居られるのではないかと気が揉めたが現実になってしまった様だ。
犠牲者の冥福を祈りたい。
間も無く66歳。こんな大災害の目撃者となるとは長生きをし過ぎたのか?とは思いながらも、素人仕事ながら地質に係ってしまったので、100万年単位の人生を夢見ているのだからさてこれからどんな事に出会うのか!

富士山周辺 海底火山の痕跡を旅する

4月30日から5月の2日までの3日間。此処千葉県柏から790km程のドライブをし、富士山周辺を反時計周りに回って枕状溶岩の露頭を訪ねました。
主要な目的地は1日1箇所。
4月30日は甲府の南で精進湖の北。市川三郷町の芦川流域。この川の流域には枕状溶岩の露頭が数多く、特に「観音城」は規模も大きいので再訪し少し画像のデータベースを増やしておこうと考えたもの。規模にはやはり圧倒された。
画像は精進湖と甲府を結ぶ国道358の露頭。芦川沿いの県道36号への分岐(信号有)の甲府側のカーブにあるので観察は危険(今回車を反対側の空所に移動するタイミングが悪く対抗車両から罵声を浴びせられた!反省!)この下の露頭はモルタル吹き付けで消失!
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?b=353201&l=1383448
5月1日は雨だったので(この日は白馬附近で数名の遭難者が出たほどの悪天候)半ば諦めて山梨・長野県境の野辺山電波天文台を見学。午後に少し天気が良くなる兆しが見えたので、短い時間だったが市川三郷町の標高1117.6mの大畠山にある「四尾連湖」を訪問。残念ながら泥岩しかなさそうだと思われたが、やっと風化した緑色岩を発見。雨に降られてこの山の中を歩くのもしんどいので途中で諦めた。薄片でも作ってみるか!此処は前日の芦川からそれ程の距離でもないので可能性はありそうなのだが、地滑り関係の論文で「らしい」情報が有っただけ。富士川を下りながら対岸の露頭を望遠レンズで撮影。(何故か左岸に露頭が多い)
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=353146&l=1383102
5月2日は丹沢湖。昨年の1月に「枕状溶岩磨き隊」・「玄倉枕状溶岩探検隊」の方々が磨き上げて下さって、丹沢湖東部の玄倉(小菅沢)にある露頭。枕状溶岩だけで無く興味深い岩石も散見!神奈川県立命の星・地球博物館の「自然科学のとびら」2010年6月号の表紙を飾っている。
http://nh.kanagawa-museum.jp/tobira/16-2/tobira61_1kadota.pdf
丹沢は千葉県からでは(若い頃ならまだしも)中々行き辛い場所。
東京に出て来た20歳の頃に、当時の友人が丹沢に惚れ込んでいて、教職の勤務先もこの山を歩き易い場所にと当時の住まいだった新宿から玉川学園を選び、良く誘われたものだが当時の小生は東北の火山一辺倒だったのでとうとう歩く機会が無いままだった。場所は下記、アクセスはとても良い。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=352508&l=1390444

露頭情報:No_031;小笠原村父島円縁湾

小笠原父島の円縁(まるべり)湾も有名な場所で、何れもNo_030の関係文献が参考になるので詳細は省きます。場所はこの附近一帯 
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?b=270229&l=1421233
日本地質学会の下記に千尋岩附近の枕状溶岩の分布状況を示す画像が在るがとても近づけそうに無い。
http://www.geosociety.jp/faq/content0244.html
小笠原村は火山岩の宝庫。今更小生が述べずとも多くの専門家が語っておられる。特に、金沢大学の海野進氏の資料が素晴らしい。下記のhpから島々の巡検ガイドもDL出来るので有効に活用して頂きたい。

2011年5月2日月曜日

露頭情報:No_030;小笠原村父島小港海岸

小笠原には枕状溶岩の露頭が多く資料も多い。
小笠原に関連して、金沢大学の海野進氏の小笠原関係資料が詳しくて頼りにしている。静岡大学時代にはHPで詳細に解説しておられたが、現在はそのHPは見当らない。大学の転籍で消滅されたのか?新しい知見が得られて別に開設されているのかもしれない。と思っていたが、念の為に調べなおしてみたらありました。「小笠原諸島の地質ガイド」海野進氏の作られたHPです。
http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/~umino/Bonin/Bonin_Field_Guide.html
現在氏の小笠原に関する資料でネットで入手可能なのは金沢大学自然科学研究科の平成22年度版「小笠原群島の自然」が筆頭だろうか!前述のHPからはフィールドガイドもDL出来ます。
これは、海野進教授から実地講習を受けた方のHPです。画像が有ります。
http://www.h2.dion.ne.jp/~mulberry/sub3-56.htm
DLしただけで全く読んでいない(申し訳ありません)のだが、東北大学の矢嶋氏も小笠原関係の論文が多い。岩石鉱物科学2003年32巻51-67頁の「小笠原群島父島に産する低Caボニナイト系列岩の2つの組成変化トレンド」もこの地域の地質資料。
富士山周辺の付加体地質、特に枕状溶岩の露頭を巡る三日間の小旅行から帰宅しました。富士山を反時計回りにぐるりと約800km駆け抜けて来ました。新しい枕状溶岩の画像を沢山撮影して来ましたので、順次ご紹介します。